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「気に入りませんわ。………あの、キラ・ヤマト」 「そうわがままを言うでない。ラクス」 「ですが…あの、アスラン・ザラが黙秘しているなんてありえませんわ。 全て言ってしまえば彼はそのままヒダカを利用できたのではありませんの?」 「・・・・・・・・」 第15話 敵が余地する理由 「…僕が好き……?」 「?…キラのこと、嫌いじゃない」 な、なんでこんなに可愛いんだろう!? いつもだったら”かっこいい”のはずなんだけどな。 「…ありがとうっ」 僕はこれからのことを予知することは出来ない。 だからこそ、何も知らない。 アスランのことすら…何も。 「つまらないですわ。いっその事彼の記憶を戻したらどうなるでしょう?」 「それではもっとつまらないだろう?」 「いいえ。彼は怖がっているはずですわ。記憶が戻ってしまうことを」 クスクスと笑うラクス。 「記憶が戻れば全てを話してしまう。 だが、彼が本当に”アレ”を言いたくないのならば我々は彼を脅すことが出来る」 シーゲル・クラインはニヤッという表情をした。 「あら。お父様はやっぱり酷いですわね」 「なあに…パトリック・ザラの計画よりはマシだよ」 ラクスはああ、そうですね。といったような顔をし、 「だって…あの方はお売りになりましたからね」 「それが最大の過ちだよ」 「……そうかもしれませんわね。お父様」 『ほら、アスラン。思い出してごらん』 ………僕は……………誰? 『これから家族になる貴方の弟よ』 それは…誰………? 『ねぇ、アスラン。貴方は何を封じていたいの?』 離して…触らないで………来ないで……。 『アスラン……貴方に言いたい事があるの』 何も知りたくない。だから何も言わないで。 『………貴方にしか 言えないことなの』 知ることが 怖い。 知ってしまって戻れなくなるのが怖い。 『…貴方はキラのことが嫌いなの…?』 嫌いじゃない。 『…じゃあどうして そんな事するの…?』 そんな事って…どんなこと…? 『キラのパソコンを壊してどうするつもりなの?誤りなさい』 ……違う。俺じゃない……。 『貴方にずっと言っていなかったこと…あったわね』 ずっと……何時まで………ずっと―――――? 「アスラン!………どうしたの?」 「……え」 「”え”じゃないよ。ぼうっとしてどうしたの?」 俺は…夢を見て…いたのか……? 「ねぇ、どうしたの?」 「…記憶……」 「記憶、戻ってきた?」 「…キラの名前…出てきた……」 「僕?」 あの夢がなんだったのかわからない。 あの夢は………夢…………記憶? 『僕の名前、キラだよ。キラ・ヤマト』 ある日突然やって来た。 4、5歳ぐらいの男の子。 僕と同い年だと聞いたが、見た目はもっと幼かった。 『僕の名前はアスランだよ。よろしく、キラ』 優しく言いかけるとキラは?マークを顔に浮かべた。 『…あすらんの言葉…ちょっと…難しそう」』 『そんな事ないよ。ほら、キラ』 僕が呼びかけるとキラは喜ぶ。 はしゃぎ走り回る。 数日後、キラはこういった。 『僕、ずーっと…一緒にいたいっ』 ”家族”だから永遠にいるものだと、僕は言う。 『でも、りこんとかしたら一緒にいられないって』 『……大丈夫。僕達は一緒にいられるよ』 キラは何処から来たのか。 キラは誰なのか。 キラが何故ザラ家にやってきたのか何も知らなかった。 『キラ。お父さんやお母さんは?』 『?…どういうこと?』 キラは数日間で全てを忘れたのか… ”生まれたときから俺と一緒に居る”と言い出した。 『………そう、だね』 だが其処で”違う”と答えることが出来なかった。 今その場で彼を否定すれば全てを否定することになりそうだったから。 ………数年たっても…解らなかった。 そんな時、母さんが俺にいった。 『アスランはキラのお兄さんになるわよね』 『は?…キラの方が誕生日早い…』 俺の言葉なんて聞いてなかった。 『キラって後からこの家に来たから弟でしょう?だから、アスランには我慢して欲しいことがあるの』 弟が欲しがったものは全て弟に譲れ。 兄なんだから我慢しろ。 そう、言われた。 でも、その言葉は全く理解できず、次第にイライラが広まった。 『アスラ・・』 キラの声すら聞きたくなかった。 『煩い!!!』 『…ふ…ふええええええええん』 キラは泣き出した。 その時は正直…解らなかった。 何故こんなにも苛々がとまらなかったのか、全然。 『アスラン!キラは弟なのよ……?』 『弟だから何だっていうんだ。俺よりキラの方が兄だろう?普通!』 『だって 貴方はしっかりしているもの』 よく言われた。 ”アスラン君は大人びているのね”って。 でも………。 これほど、嫌だと思ったことはなかった。 『貴方が我慢すればそれでいいの』 その言葉はとても冷たかったけれど… 何時しかその言葉はなれていた。 後書き――――――――後書き 今日和、第15話はMoon Voiceの中で一番長いかと。 普通だったらこれぐらい長く書くはずなんですけどね。 最近疲れてこれの半分しか書いてなかったんです。 でも、どうだったでしょうか? アスラン視点久々書くとやっぱり書きやすくて。 何故アスラン視点なのかは不明ですが(笑) キラは書きづらいです〜〜〜>< さて。これからどうするか。(え) |